日本の美しい音色を
新しい文化の夜明けを
子と孫の世代へ
世界へ
広く伝えたい

“聴く喜びと感動が私たちの喜びです”
これは小松屋の経営理念の一文です。
私が三味線と出会ったのは、初めて師匠についた22歳の時です。師匠はお金の無い私を気の毒がり、ご自身の幾つかある中から長唄の細いお三味線をくださいました。私は三味線屋さんで一番安価な皮をお願いし木撥を買い求めました。初めて三味線の音色を耳にした時の感動は、今でも忘れられません。
それからの人生は夢のようでした。あれから40年、ずっと傍らに三味線がありました。38歳で独立しましたが、三味線作りが出来ぬまま渉外畑一筋で関わってきた私にとって、造れる幸せとより良い物を造る想いはずっと心の奥底で願いとしてより深く強くなるばかりです。
最近、世界に類のない独特な発展を遂げた文化として日本文化が世界中から注目されています。そのひとつである三味線音楽に関わっている私は、なんという幸せな人生を歩かせてもらっているのだろうと思います。
この素晴らしい文化を少しでも世界の人びとに知ってもらいたい、触ってもらいたい、造り手も弾き手もそれを聴く人びともわかちあってともに幸せの心を感じてほしい、と思っています。
まさにそれが経営理念であり、願いでもあるのです。

小松 英雄